あなた色に染まりたい

そう、だよね……


あの時“ダメ”って言わなければならなかったんだ。


微妙に空いた二人の位置に、どうしていいかわからなくなる。


そんなあたしをよそに、蓮はやさしく微笑みながら想いを伝えてきた。




「紗羽さん、好きだよ」




耳元で囁いた蓮の声が、さらに鼓動を早くさせる。




「蓮、あたしも好きだよ……、友達として」


「はは、一瞬期待した」




ごめんね、蓮。


あたし、凄くずるいことをしてるってわかってる。


でもあたしは、想いをこれ以上膨らませることはできない。


今は、蓮とのこの距離を保ちたいんだ。




そのあとはいつのまにか眠りに就いていて、気が付いたら朝だった。


目が覚めたとき、蓮の胸に顔を埋めて寝ていたらしく……


ちょっぴりはだけた浴衣の襟元から覗く、引き締まった胸板に、またドキンッ…と胸が高鳴った。




「紗羽さん、おはよう」


「うん、おはよ」




蓮の胸から顔を離して、蓮の顔を見上げると、蓮はみるみるうちに赤くなっていく。




「蓮、どうしたの?」


「紗羽さん……ゆ、浴衣っ」




浴衣?