あなた色に染まりたい

ちょっぴり足元の悪いところで、蓮が自然に手を差し出してきて……


そのまま、手を繋いだ。


この一ヵ月一緒にいて、手を繋いで外を歩いたのは……今日が初めて。


蓮の大きな手に、またドキドキした。




今日のあたしの心臓は、物凄く忙しい。


あたしの意志とは別に、勝手に走りだしている。




「紗羽さん……俺、やっぱり紗羽さんが好きだ――、まだ想いはなくてもいいから、付き合ってほしい」




切羽詰まったような顔をして話す蓮。


この一ヶ月、こんな風に急かすような言い方をしたことはなかったのに……


どうしよう……


付き合ったら何か変わるのかな?


今のままじゃダメなのかな?




ずっと考え込んでいたら……




「ごめん……俺、焦ってるのかも」




消え入りそうなほどの小さな声で呟く蓮を見上げる。


表情もどこか悲しげで、蓮がどうしてこんな風になってしまったのかが、まったくわからない。




「何で焦るの?」


「この関係に……」




この関係って?


もしかして……




「支えるの、嫌になっちゃった?」




あたしのことを好きだと言ってくれた蓮。


でもあたしは、そんな蓮に甘えるばかりで、何も返せていない。


だからきっと、嫌になっちゃったんだ――


でも、そんな心配をよそに蓮は慌てたように口を開く。