あなた色に染まりたい

目の前の赤を見るたびに、転がった箱を思い出すんだ。


あのときのリボンも赤だった。


薄いピンクの包装紙に赤いリボン。


紗羽が自分でラッピングしてくれたと、あとから聞いた。


外側も中身もすべて、紗羽の手作りだったのに……


俺がぶち壊したんだよな。



はぁー



今日は、気付けばため息が漏れてしまっている。




「蓮くん?」




目の前の女が、顔を覗き込んできた。


コイツの存在を完全に忘れてた。




「とにかくもらえねぇから」




そう言って、その場をあとにした。




それから何度か、同じようにチョコレートを手渡してくるヤツがいたけれど、すべて断った。


でもやっぱりリボンの赤を見るたびに、紗羽のあの傷付いた表情が目に浮かぶんだ。




今すぐ紗羽に会いてぇ――…