あなた色に染まりたい

すごく狭い道が少しずつ開けてくる。


と思ったら……




「わぁー綺麗」




見下ろすと、街中を見渡せる場所に辿り着いた。


無数の光が散りばめられたような夜景。


ほんとに綺麗。




「ここ、穴場らしいぞ」


「へぇー」


「バイト先の先輩に教えてもらったんだ」


「そうなんだ」




穴場なだけあって、周りを見渡しても誰もいない。


貸しきり状態だ。


凄く贅沢。




「…――なぁ、紗羽」


「ん?」


「……」




あれ?


呼んだにも関わらず、何も言わない?


顔を覗き込むようにして、蓮を見上げた。


暗くてよくわからないけれど、ちょっぴり顔を歪めてるように見える。




「蓮?どうしたの?」