あなた色に染まりたい

「俺もよく付き合ってたから強くなったけど、美香だけはずっとこのままだよな」


「ふふ……ホントだ。あ、蓮は?いつくらいから飲み始めたの?」




蓮のことは、出会ってからのことしか知らない。


だから、聞いてみたくなった。




「中三くらいかな」


「え?ふりょー!」




まさか、中学生から飲んでたなんて思わなくて……


つい、大きな声が出た。


そんなあたしに、蓮は苦笑い。




「兄貴が飲んでる横で、一緒に飲むようになったんだよ」




お兄さんの影響か……


にしても、中学生って早くない?




「蓮って酒で記憶なくしたことあんの?」




横から突っ込んだ晴希の言葉に、あたしも耳を澄まして次の言葉を待った。




「今のところは、ないかな」




やっぱりな。



予想通りの答えが返ってきた。


だって……


「蓮が酔ったとこって、見たことないんだけど」


「だよな?蓮って酔ったりすんの?」


「あんまり酔えないかも」




そうなんだ……


適度に酔ったら気持ちいいのになぁ。




「晴希は記憶なくしたことないの?」




晴希とも、この数ヵ月しか一緒に飲んだことがないから、こんな話をしたことがなかった。




「俺か?あるよ。目覚めたら女とベッドの上とか……」


「わっ、マジ?」


「そういう時って、どうしよーって焦んの?それともラッキーって喜ぶの?」




体を重ねたことを覚えていない時、男の人は目が覚めてどんな気持ちになるんだろう。