あなた色に染まりたい

「終わったぁー」


「紗羽、サンキュー。すっげぇ綺麗になったよ」


「ホントだよね。違う部屋になっちゃったね。晴希は落ち着かないんじゃない?」



今まで散らかっているのが当たり前だったのなら、きっと片付いている方が気になったりしそうな気がする。



「はは、確かに。あっそうだ。紗羽、ビール飲むか?」


「え……いや、いらない」


「めずらしいな」



晴希が目を見開きながら驚いている。



「まぁね。男と二人の時は飲まないことにしてるの……あっ、晴希のことを信用していないとかじゃないからね」


「なるほどね。紗羽ってしっかりしてるな?」


「そんなことないよ。過去の経験を活かして、教訓にしてるだけ」



初めて潰れた時に、自分が怖くなった。


たくさんの人と飲んでて、あの時たまたま大輝が介抱してくれたから大丈夫だったけれど、他の人だったら……と思うと怖くて仕方なくなった。


外飲みの時と、こういう状況になった時は、特に気を付けている。