あなた色に染まりたい


♪♪♪〜


そんな中で、美香の携帯の明るい着信音が鳴り響いた。



「もっしもーし!」



美香は電話で話す時でさえ、いつもテンションが高い。



「えっ!?マジ?忘れてたぁー!」



なんだ?


声にしても表情にしても、焦っているのが凄くわかる。



「うるせぇーよ」



電話が終わった美香に、晴希がため息混じりに声を発した。



「ごめん、晴希……このままうちに送ってくんない?」


「え、どうしたの?」


「今日アパートに母親来るのを忘れてた」


「ありゃりゃ」



美香ってしっかりしているようで、こういう抜けてる部分もあるから、また可愛いんだよね。



「紗羽、ごめんね……汚い晴希の部屋、紗羽だけに任せることになっちゃって」



ほんとに申し訳なさそうに言う美香だけど、「晴希の部屋は汚い」ということを、さらっと言っちゃうところがまた、美香らしくて好き。



「汚いって言うなよ……まぁ確かに汚いけどさ」



晴希が口を尖らせながらそう言うから、思わず笑みがこぼれた。



「いいよ。汚いほうがやりがいありそうだし」


「あはは……そんなこと言うの、紗羽くらいじゃない?普通は嫌がるって」



そうなのかなぁ……