「「「「ハッピーバースデー晴希!」」」」
「かんぱぁーい!」
ビールや酎ハイで大盛り上がり。
みんなお酒が大好きだから、ペースも早いし……
そんな中、酔い始めの美香が口を開いた。
「晴希ぃー、この間言ってた人妻はどうしたぁ?」
げっ!
この人妻があたしのことだったと聞かされてから、この話題を避けてきたのに……
何となく晴希の方を見れない。
「あんまり変わってねぇよ。」
「まだ忘れられないか……そっかそっか……飲め飲め。」
美香、晴希にビールを勧めたりして……かなり、おっさん化してるし。
「紗羽、今日ペース早くねぇ?」
「え……」
蓮に言われて……気付いた。
確かに、早いかもしれない。
何をやっていても、何をしゃべっていても……頭の中は大輝が言った“大切なこと”でいっぱいで……
それを思い出せないから、ついビールに手が伸びてしまうんだ。


