あなた色に染まりたい

「覚えてねぇよな。覚えてたら、“別れたい”なんてメールよこさないよな。」




どういうこと?




「何を言ってるのか……わかんない。」


「やっとしゃべった、はは。俺、別れたつもりねぇから。」




大輝は、淡々とそう口にするけれど……




「何言ってんの?」


「だから返事しなかったし。」




わけわかんない。


別れるつもりがなかったのなら、“別れない”って返事をしてくればよかったんじゃないの?




それに……


さっき、覚えてるとか覚えてないとか言っていたけれど……どういうこと?


最後に抱かれた日って、大輝がメチャクチャ優しかった時……


何言われたっけ?


そのあと見た光景が強烈すぎて、思い出せない。


大輝を見上げると、凄くやさしい顔をしていて……


付き合っていたときの、幸せだった日々を思い出して……


自然と涙があふれてきた。




「紗羽、ごめんな。俺が弱かったから。あんなふうに傷つけるつもりはなかったんだ。」




大輝は親指であたしの涙をやさしく拭った。




「だい…き…」