あなた色に染まりたい

手を裾から晴希の腕に移して、ギュッとつかむ。




「ごめ、なさい。デート、できません。」


「一回でいいんだって。」




し、しつこいっ。




「無理だって言ってんだろ?」


「おまえ、うるせぇ。黙っててくんねぇ?」




蓮……


どうしよう。




「紗羽!」


「蓮っ!」




心の声が届いたかのように、蓮がタイミングよく息を切らしながらやってきた。


そのまま蓮に手を伸ばして、抱きついた。




「おせぇから心配した。」


「うん。」


「晴希さん、すんません。」


「いや、こいつがなかなかしつこくてさ。」




晴希が親指で目の前の人を、指差す。


蓮がその方向へと視線を向けて……




「鳴海さんでしたっけ?」




今度は蓮が鳴海くんと向かい合う。




「は?おまえ誰?」


「紗羽と付き合ってる水島といいます。もう紗羽には近づかないでもらえます?」


「へぇー、紗羽ちゃんって彼氏いたんだ。最初はいないって言ってなかったっけ?」




だって……まだ蓮と付き合う前だったから。