天使な悪魔と不死身の僕。



「それはっ…………」


僕の問い掛けに、女の子は目を泳がせ言葉を詰まらせる。


「何?……それを叶えたら、僕死ねるんでしょ?」


そう言った瞬間、深紅の瞳から光が一瞬消えた気がした。


タンッと床を蹴り、僕の胸ぐらを掴む女の子。

心なしか目が潤んでいる気がした。



「何でお前は死ぬことしか考えられないんだ?!何で戦わないんだよ!いっつもいっつも逃げて、更に現状を悪くして、また逃げて!勝ちたいとか復讐したいとか思わないの?!」


「……戦わない?勝ちたい?……」


女の子に言われて初めて気づく。
勝ちたいだなんてそんなこと、今まで一度も思ったこと無かった。


確かに、僕は逃げてるだけだった。


虐められるのが辛くて、早く楽になりたくて、結果逃げる選択をした。



自殺という選択。



さっきまでの僕はそれが一番良い選択だと思ってたんだ。




「お願いだから、少しは生き残る術を考えて……。私も手伝うから……」


ふっと翼が消え、下を向き俯く女の子。


正直、矛盾だらけで何を信じていいのか分からない。


だけど、なんとなくこの人が僕の事を思ってくれているのは分かった。



「………手伝ってくれるの?」

「ぇ?……」


「はっきり言って、君怪しすぎるし、何信じていいのか分かんないし、色々と事情がありそうだけど、僕の戦いに手を貸してくれる?君の望む物はちゃんと叶えるから」


この先のことなんか分からない。


辛いかも知れない、悲しいかも苦しいかもしれない。


今すぐ逃げ出したい。


けど、




人生の中で、一度位は戦ってみてもいいのかもしれない。