ぐいっと片手で僕を引き上げ、立てない僕の前にしゃがみ込んで、僕の顔を覗き込む女の子。


どう見ても日本人ではなさそうだ。


白銀と言うのだろうか?


細く綺麗な腰まで長い髪が地面に付くのも気にしてないようだ。


「落ちても、良いことなんて一つもない。ただ悲しく辛くなるだけだ」


「それは……、そうだけど」



そんなことは知ってる。



だけど、




「………そんなに死にたいのか?」


「助けてくれようとした心は嬉しいけど、僕の気持ちは君には分からないと思うよ」



服の埃をはたき落として立ち上がると、女の子はキョトンと僕を見上げてた。


「お前、怪我もしてるじゃないか」

「大丈夫だからほっといて」

「そうはいかない」


女の子は勢い良く立ち上がったと思ったら、いきなり僕の傷口に手を当ててきた。


「なっ……!!」


びっくりして、女の子の手をはたこうとした瞬間。女の子の手が光ったと思ったら、次瞬間にはさっきまで痛かった傷の痛みが嘘のように無くなり、傷口も綺麗に治ってた。



「どういうことだよ………」



信じられない。何もかも。



そもそも女の子が片手で男を引き上げるのだって普通に考えて可笑しいのに。



傷を、治すだなんて……



「……人間の一番の罪は、命を粗末にする事だ」


「は、ははっ。なんだよそれ。早く死んじゃいけないからって、ずっと辛く痛い思いをしなきゃいけないのかよ!!冗談じゃない。それに、お前何者なんだよ!」


「私は、………悪魔だ。人間ではない」


「意味、分かんないよ。……僕をからかうの、そんなに楽しい?」


そう言ったら、女の子の顔が酷く歪んだ。


醜くい心からじゃない。悲しさで、だ。


何で分かるかって?


そんなのは感だよ感。