「………」




とんでもなく大きな鈍器で頭を殴られた様なショックだった。



ヨウスケくんがモテるのは知っている。

ミキちゃんが言っていた様にあたしも実際、ヨウスケくんが周りから



『あの人かっこいいよね』

とか



『あの人と仲良くなりたいな』

とか
言われているのを何度か耳にした事があったから。

…だけど、
そうじゃなくって

今さら告白をされたからって
動揺した とかじゃない



『付き合おうと思う。』



その言葉が あたしの胸にグサリと突き刺さった。










「…2週間、位
前だったんだけど…」



ヨウスケくんが働いてた時に、
たまたま見掛けたらしいその元カノは、あたしの働いているお店の袋を手にして家族連れで歩いていたらしい。



「覚えてない?」



ヨウスケくんはその人の特徴を
できるだけ細かくあたしに教えてくれたけれど、
でもその日は土曜日で
休憩も入れない位忙しかったし
どんな人だったか、なんて教えられても



「ごめん、全然わかんないや…」



思い出せるわけがなかった



「そ…っか。」

「…ごめん」

「や、」

「………」

「…だけどやっぱ衝撃でかすぎてさ、」

「うん」

「何となく誰にも会いたくなくて最近店からも最低限出てなくて」

「………」



…だから だったんだ。
ヨウスケくんを見かけなくなったのは。



「したっけその次の日たまたまそんなタイミングでダチから女の子紹介されてさ」



一方的に相手の子から気に入られて

誘われて何度か遊んで、そしたら今日



「ヨウスケの事、すきだって」

「………」



“ヨウスケ”?

胸がキュウって締め付けられた。



『その子はヨウスケって呼んでるの?』



そう思ったら
あたしは呼び捨てじゃないのにその子は呼び捨てで呼んでるんだとか。

そんなくだらないそんな事で、また胸がキュウって締め付けられた