「………」

「………」










帰り道ー

会話なんて、ひとつもなくて
ふたりで家までの道のりを歩いた。





あたしの左側で
歩くのが遅いあたしに合わせて歩いてくれる
ヨウスケくんの優しさが

すごく、
胸に染みた





『…あ』





風が吹く度に
あたしのあげた香水の香りが微かに鼻の頭を掠めて

その度に
視界がぼやけた





『もー…』





…あの日から今日までずっと泣かなかったのに





『本当やだ、自分』





泣く事を我慢してこれたのに。



ヨウスケくんが近くにいるというだけで、

あたしの涙腺はこんなにも簡単に崩壊しかけてしまうなんて



…ヨウスケくんの事を
あたしがどれだけ思っていたのかを、





『…はぁ』





今更ながら
痛切に思い知らされてしまう