菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~


「自業自得……」

「彼は経営者としては、あまりに若過ぎた。彼には荷が重すぎたということだな」

「………」

パパに対して言い返すことばが見つからなかった。


今のあたしにできるのは黙って自分の部屋に戻ることだけだった。



好きなことを仕事にできることほど幸せなことはないと思う。

だけど、それが仕事である以上、ただ好きなことをやってさえいればそれでいいってことじゃないのかもしれない。

ただ美味しいお菓子を作ってさえいればいいってことじゃないのかもしれない……。


たしかにパパのいうとおり、王子はパティシエとしては合格でも、経営者としては失格だったのかもしれない。


でもね……、


王子にとって、あたしのパパは自分のお店を閉店させた人なワケだし、つまりは憎むべきカタキなワケでしょ?