菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~

「あのっ」

あたしは王子が言うのを遮って言った。


「え…」


「前から思ってたんだけど、あたしのこと、いつも気安く“お前、お前”って呼ぶの、やめてもらえないかな」


「お前だって俺のこと、“凱”とは呼ばずに、いつも“王子”って呼んでんじゃん」

「“王子”は親しみを込めて言う愛称でしょ? “お前”って言うのとは、なんかニュアンスが違うと思う」

「じゃあ、なんて呼べばいいんだよ」

「フツーに名前で呼べばいーじゃん。“加藤”でも“翔子”でも好きに呼べばいーじゃん」

「“フツーに”って…」

「え……」

「…つーか、それはムリ」

「なんで?」


「なんてゆーか……自分でもよく分かんねぇんだけど……」


「…?」