「…つーか、お前に“魔法のチョコ”のレシピを教えたのはこの俺だ。いうなれば俺はお前の師匠ってわけだ」
「王子があたしの師匠? まぁ、師匠といえば師匠だけど」
「師匠としては弟子がちゃんと俺の指示したとおりに“魔法のチョコ”を作ったかどうか見極めてやる責任がある。だからわざわざ食べにきてやったんだ。感謝しろよな」
「はいはい…。そーいうことにしといてあげるよ」
あたしは軽くあしらうように言った…、
“食べたいなら食べたいって素直に言えばいいのに”
…ってココロの中では思いながら。
「ここじゃ、なんだし、場所を変えよっか?」
「だよね? こうみんなの注目の的になってたんじゃ、ゆっくり話もできないしね」
「お待ちください、お嬢さま!」
突然、山野辺さんがあたしを呼び止めた。
「山野辺さん、ごめんなさい。今日だけは見逃してもらえませんか?」


