「そうそう、飛び込んじゃいなよ♪」
「え…でも……」
そうしたいのはやまやまだけど、こんなにギュラリーが多いんじゃ、ちょっとそれは恥ずかしすぎるかも……。
ゆっくりと王子のほうに歩いていくあたし。
近づくと消えてしまう“蜃気楼”みたいに、王子が消えてしまわないように、ゆっくり一歩ずつ王子に向かって歩いていった。
そして……、
「おかえり」
…って王子に言った。
「ただいま」
…って王子が言った。
「あたしのメール、ちゃんと読んでくれてたんだね」
「まーな」
「それで、あたしの手作りチョコが食べたくなって、のこのこやってきたってワケね」


