ブロってますか？

ホテルに帰っても悶々とし、眠れない一夜を過ごす健一。


気が付けば朝も７時になる所だった。
シャワーを浴び、スーツに着替えフロントに降りる。
馴染みになったフロントマンが、


「おはようございます。岡村様出勤ですか？」


「おはよう、すまないけど予定が早まって、明日朝でチェックアウトするよ。」

「お帰りになるのですね。早く御自宅に帰れて良かったです。奥様もお待ちでしょうし。」


悪気無いフロントマンの一言に、あぁ自分には帰る場所があるんだ。と思い出す健一だった。


会社に行くと、なんとなく事務所のドアを開けにくい…意を決してドアを開ける健一。


「おはようございます！」


思い切って、明るく入る健一を、理恵は変わらぬ笑顔で迎える。


「おはようございます。岡村さん、昨日は送って貰ったみたいですいませんでした。」


『覚えて無いのかな？どうやらそうみたいだ。かなり酔ってたからな。まぁ覚えてない方がお互い幸せかもな』


気を取り直しデスクに座り、仕事に集中しようとする岡村。しかし、常に視線を感じ、振り返ると理恵と目が合う。
目が合えば慌てて顔を伏せる理恵。


健一は確信した。