ブロってますか?

翌日、出社する健一の足取りは何となく重かった。


「おはよぅ」


事務所に入る健一を理恵が元気良く迎える。


「おはようございます!」


「り、西川さん今日も元気だね。」


理恵チャンと言いかけ慌てて言い直す健一。やはりこの子の笑顔見てると元気が出る。この笑顔を独占したいと思う健一だった。


やがて続々と出社して来る社員。
近藤が入って来る。

「先輩、昨日はご馳走でした。」


健一に挨拶すると、西川の席に行き何事か話し掛ける近藤。それに笑顔で答え笑いあう2人…
その様子を見た健一の心に、にわか雨が降る。


『朝から何か心が折れちゃうな…何だろ?この感情は…中学生の頃の初恋の時の感じに似てるな…』

やがて慌ただしい仕事が始まると、敢えて仕事に没頭する健一。
今日は所長も出社しており、難しい顔でデスクに座っている。やがて昼時になり所長から昼飯に誘われる健一。


「岡村君、飯に行こう。」


「はい、珍しいですね。今日は愛妻弁当じゃないんですか?」


殊更愛妻の部分を強調する岡村に嫌な顔する村下。


「今日は家内の体調が悪いんだよ。」


「それは失礼しました。じゃ行きましょう。何食べます?