『近藤の奴良くやってくれてるみたいだな。』
一安心する健一。


『頼りになる人が居て良かったね。くれぐれも気付けてね。』送信


受信『了解!何かあったらすぐ健チャンに報告しまっす!また出張でこっちに来る事はないですか?その時には、時間あれば健チャンに逢いたいです。』


『う~ん、当分ないなぁ。僕も理恵チャンに逢いたいです。その時にはまた連絡します。』送信


健一は動揺を隠し嘘をついた。
今はまだ早い。自分に言い聞かせる健一。その心中は複雑であった。


『では、逢える日を楽しみにしてます。おやすみ。』送信


受信『はい!では奥様がお待ちかねですね!おやすみなさ~い。』


『ふっ、お待ちかねか…今の僕の心の隙間埋めてくれるのは理恵チャンだけだよ。』


溜め息をつきながら帰宅の途につく健一。


同じ様に、美沙子の心の隙間を埋めるのもブログだけだった。平凡な日々に、お互いに刺激に出会い、のめり込む。自身の存在意義を現実と離れた所に求める。バーチャルと現実の狭間で、健一と美沙子の思いはシンクロする事なく進むのであった。