それから1ヶ月後、今日明日が山場と言われ、健一も母親も病院に詰めていた。
美沙子には呼ぶべき両親も親族も居ない。いや正確には遠い縁者は居るが、交流は無いままで今に至る。だから最後を看取るのは2人だけだった。
明け方の事だった。突然目を見開いた美沙子は、
「あなた、ありがと、ありがと…」
それだけ言うと、大きく息を一つはき、そのまま眠る様に逝ったのだった。
慌ててナースコールを押し医師を呼ぶ健一。
駆け付けた医師が、脈を取り瞳孔を確認し、腕時計を見る。
「ご臨終です…」
泣き崩れる母親。
美沙子の死に顔は、とても穏やかだった。美沙子の最後に言った言葉が脳裏に張り付く健一。
『もしかして、最後に記憶が戻ったのかな?美沙子ごめんな、お前にありがと言われる程の良い亭主じゃなくて。天国の御両親と仲良く暮らせよ。』
美沙子の髪を撫で付ける健一の両眼から、自然と涙が溢れ落ちる。
葬儀は密葬の形で、慎ましく行われた。遺骨は美沙子の両親が眠る墓地に埋葬された。
慌ただしい日々が一段落し、健一は心にぼっかりと穴の開いた様な無作為な日を過ごしていた。
そんなある日…
美沙子には呼ぶべき両親も親族も居ない。いや正確には遠い縁者は居るが、交流は無いままで今に至る。だから最後を看取るのは2人だけだった。
明け方の事だった。突然目を見開いた美沙子は、
「あなた、ありがと、ありがと…」
それだけ言うと、大きく息を一つはき、そのまま眠る様に逝ったのだった。
慌ててナースコールを押し医師を呼ぶ健一。
駆け付けた医師が、脈を取り瞳孔を確認し、腕時計を見る。
「ご臨終です…」
泣き崩れる母親。
美沙子の死に顔は、とても穏やかだった。美沙子の最後に言った言葉が脳裏に張り付く健一。
『もしかして、最後に記憶が戻ったのかな?美沙子ごめんな、お前にありがと言われる程の良い亭主じゃなくて。天国の御両親と仲良く暮らせよ。』
美沙子の髪を撫で付ける健一の両眼から、自然と涙が溢れ落ちる。
葬儀は密葬の形で、慎ましく行われた。遺骨は美沙子の両親が眠る墓地に埋葬された。
慌ただしい日々が一段落し、健一は心にぼっかりと穴の開いた様な無作為な日を過ごしていた。
そんなある日…


