ブロってますか?

美沙子には言い出せないまま3日が過ぎた。
そして木曜日。
この日は通院する日である。
有休を取った健一は美沙子を連れて病院へと向かう。


診察を終え、健一だけが医者に呼ばれる。


「記憶の方は、突然戻る事もありますから気長にやりましょう。焦りは禁物ですよ。ただちょっと…」


言いよどむ医師に、何か不吉な物を感じる健一。


「先生、何か?」


「詳しく調べないと断定は出来ないんですが、膵臓にちょっと問題があるかと…」


「癌?ですか?」


「いやいや、まだわかりません。この病院に専門医がいます。紹介しときますから、精密検査を一度受けて下さい。」


健一は思い出した。美沙子の両親はどちらも癌で早くに亡くなっている事を…。

「はい、宜しく御願いします。」


医師に頭を下げ、美沙子を連れて家に帰る。


「お医者様は何て?」


「あぁ、順調に行ってるらしいよ。ついでに今度精密検査をしようって。」


「えっ、何か悪いんですか?」


「ははっ、人間ドッグみたいな物だよ。」


「良かった。びっくりした。」


笑顔の美沙子を見たら、何も言えなくなった健一だった。