「あっ、じゃ僕も降ります。」


料金を払い、立ち去るタクシーを見送る健一。


『まっ、通りに出れば拾えるだろう。』

理恵を抱きかかえるようにして、部屋まで連れて行く。


「はい、はい鍵出して。」


理恵からキーケースを受け取り、ドアを開けベッドまで連れて行く健一。


「お水のみた~い。」


理恵の要求に、台所に行き冷蔵庫を開けてみる。冷えたミネラルウォーターを見つけ、ボトルとコップを持って、理恵の元に行く健一。


「ほら、お水だよ。飲み過ぎたよね。」

美味しそうに一息で飲み干す理恵。


「う~ん、苦しい。きつい。」


「一気に飲むからだよ。」


「お、岡村さん、服緩めて。」


横を向きながら、理恵のブラウスのボタンを外し、ベルトを緩めてやる健一。


「じゃ、帰るから、ちゃんと鍵掛けて寝るんだよ。」


「だめ~帰っちゃ!一緒に寝るの!」


駄々をこねる理恵に苦笑いを浮かべながらも、そっと寝室のドアを閉める健一。玄関へ向かおうとして、ふと気が付く。『鍵掛けれる状態じゃないな。明け方まで時間潰すか。』


台所のテーブルの椅子に腰掛け、空き缶を探し煙草に火を点ける。


その時…