異世界転入生

「そう…1年は6000日…そして、こっちの1日は向こうの約3日分
つまり、こちらが1年を終える頃には向こうは約18000日終えていることになるの
それを年数になおすと約50年…」
「っ!」
「向こうで50年もの年月が流れているのに、貴方は1年しか年月が流れていない」

ユウはショックで立っていられず、座り込む
向こうとこちらの月日の流れの違いを気にしていたのに…自分の年齢も気にしてたのに…向こうからこちらへの変換ばかりで、逆を考えていなかった
50年という、しっかりとした数字を示され、その数字がユウに重くのしかかる

「これ以上は言わなくても分かるでしょう?」

ユウは、黙って頷いた

(僕が1年以内に向こうの世界に行って、知ってる人に会うと混乱を招く…
こっちで2年過ごせして向こうに行けば、確実に知ってる人なんていない…
僕がこっちに来た瞬間…それが永遠の別れなんだ…)

「分かってくれていると思うけど…
私達は遊び半分で貴方をココに連れてきたわけじゃないわ」
「ホン…トに…?」

ユウの中で両親のイメージは、気楽で何も考えず、楽しい事なら何でもやる…というものだ
こんな世界を越えることを、何も考えずにされたら怒りを覚えるが…

「えぇ、もちろんよ
貴方の魔力はとても強くて大きい
コントロール出来ていないと、いずれ暴走してしまうの
もし、あのまま向こうの世界にいたとしたら、近い将来暴走して向こうの世界を崩壊させてしまっていたわ」
「!?」
「一応、ギリギリまで向こうにいたつもりよ?
きちんとコントロールを覚えないと、大きな力は破壊を生むわ」
「…分かった…でも!事前に言ってくれたって!!!」
「事前に言っても、あの世界じゃココの世界の事を許容出来ないし、事実として受け取ってくれないでしょ?」
「!?…た、たしかに…」

今日の朝を思い出し、言い返す言葉も無い
ココの風景を目の当たりにして、やっと信じる気になったのだ
言葉の説明だけなら、本当の事だと思いはしない
冗談と決め付けて、記憶の片隅にも置いていないだろう