異世界転入生

「知ってる、だって俺の隣だし」
「ええぇぇぇ!!?」
「ほら、さっさと帰るよ
それとも、大雨に巻き込まれたくなった?」
「嫌に決まってるじゃん!」

思わぬ助けをミスミス逃すなんて事はしない
ユウはリュウについて行くことにした
リュウが前を飛び、その後ろをユウが飛ぶ
ユウの事を気遣ってか、リュウのスピードはとても遅く、何人もの人に抜かされる

「ねぇ…ま、間に合うの?」

皆が急いで帰るのを見て、今のスピードで飛んでいて大丈夫なのか心配になる
ライナが言うに、大雨までの猶予は20分
家までの道のりがどれくらいかかるか分からないので、20分で家に着くかが心配だ
また、大雨が向こうの世界で言う大雨では無さそうなのは、なんとなく雰囲気で分かる
けれど、どの程度のものなのかも想像出来ない
分からない事だらけで、不安で一杯だ

「あぁ、気づいたのが早かったからね…間に合うよ」
「そっか、良かった…」

リュウの一言で、一安心するユウ
そんな会話をしつつ、しばらく飛んでいると風が少しずつ強くなってきた

「この風が、もうすぐ大雨になる雲を運んでくる
あと10分くらいで風の強さはピークに達し、雨が降ってくる」
「雨が降っても困るけど…この風もなかなかに困る」

ユウは風が強くなってきたので、必死にバランスをとっていた
一方のリュウは、涼しい顔で飛んでいる

「あと少しで家だよ
だから、落ち着いてコントロールすれば良い」
「わ、分かった」

生まれて初めての長距離飛行だが、空のため障害物がないので意識は飛ぶことに集中できる

「ほら、アレだよ」

5分くらい飛び進むと、住宅がまばらに見えはじめた
リュウがある1ヶ所を指さし、ユウは指さすところを見る
そこには、今朝見た自宅と同じ建物があった

「あ、ホントだ!」

自宅付近に付き、スッと地面に降り立つ2人

「リュウ、ありがとう!助かったよ」
「構わないよ、すぐ隣だからね」

ユウの家…向かって右隣がリュウの家があった

「じゃ、またね!」
「あぁ」

2人はそれぞれ自宅に入った