異世界転入生

「黒い雲が出てきてるね…雨を降らしそうな雲だね」
「普通の雨じゃないわ、大雨がくる」

ライナは深刻そうな顔で、向こうの空を見ている
向こうの空には、今あるドス黒い雲より黒い闇のような雲が不気味に広がっていた

「急いで帰らないとですね!」

2人はサッとホウキを出すが、ユウは首を傾げている

「ユウ、今から20分くらい経つと、大雨になるわ」
「急いで下さい!皆さんも急いで帰ってますです」

校舎の方を見ると、全校生徒が教室の窓からホウキに乗って急いで帰宅する姿が見れた

「私達も早く帰らないと、大雨になってから帰るのは大変よ
あ、ユウこれ私の番号だから、暇なら通信してきてね」

ライナはメモをユウに渡し、ユリンとも番号を交換してホウキにまたがる

「私にも、お暇でしたら通信くださいです」

ユリンもメモをユウに渡すとホウキにまたがる
ユウはわけが分からぬまま、メモを受取りホウキを出す
メモはなくさないように、片付けてホウキにまたがる

「それじゃあ、またね!」
「またです!」
「あ、うん、またね~」

2人が飛んでいくのを見送りユウは空中で止まる

「僕の家って…どっち?」

自分自身の言葉にサーッと青くなる
その間も、生徒はどんどん帰って行っている
誰を捕まえて聞いても、自分の家を知っている人などいるわけが無い

「どうしよう!!?家分からないから、帰れないじゃん!!」

空中でオタオタと慌てるユウ

「何やってんの?」
「うぎゃ!?」

いきなり声をかけられ驚くユウ
ホウキから落ちないように、ホウキにしがみつく

「りゅ…リュウかぁ~~~ビックリしたぁ~」
「俺はユウの声に驚いた…
それより、早く帰らないと大雨に巻き込まれるよ?
巻き込まれたいの?」
「そんなわけないし!!
早く帰らないといけないのは、わかってるんだけど…
家がね…分からないの…」

ユウの一言に、一瞬沈黙が辺りを包む

「はぁ?おかしいでしょ?」
「いや、普通はオカシイけど、おかしくないから!!
今日、学校来る時はずーーーっと目閉じてて何も見てないんだよ!」
「…はぁ…しょーがないな、送って行ってあげるよ」
「へ?僕の家知ってるの?」

リュウの思わぬ返答に、ユウは驚いた