異世界転入生

「なので、自己紹介しますです!
私はユリン・フォールと申しますです
よろしくお願いしますです!」

ニコリと笑うユリンに、「よろしく」と返すユウ
その右手には、飛びつこうとしているライナ

「だから、ライナ…飛びついたらダメだって、押しつぶしちゃうし…」
「ユウ、酷くない?」
「だって、威力を知ってるからなぁ~」

ライナはそう言われ、しぶしぶ飛びつくのを諦めた

「ねぇねぇ、ユウちゃんのいた世界って、どんなところだったんです?」
「ん~…ココとは全然違うよ
魔法なんてなかったし、道は舗装されてたしね」
「ほそう?」
「うん、土の上にコンクリートっていうのを敷き詰めて固めるの」
「固める…ですか?」
「なんか、想像できないわね」
「まぁ、この世界に舗装なんてないから想像できないよね」

揃って首を傾げている2人を見て、ユウは苦笑いをするしかなかった
舗装された道などなく、自然と融合しているような世界
自然がそのまま残るこの世界からは、舗装など想像もつかないだろう
つい昨日までいた世界を、目を閉じて思い出す

「空はね…青だったよ
晴てる日は、綺麗な真っ青でさ
曇りや雨の日は灰色の雲に覆われた空
日が暮れる頃には、綺麗なオレンジとか」
「空が青だったんだ」
「ココは青紫ですものね
夕暮れ時には、こちらもオレンジ色になりますですよ」
「そうなんだ!ちょっと楽しみだなぁ~」

3人が仲良く話している時、ビュッと強い風が吹いた
あまりに風が強かったので、目を閉じ手で目を守る
風がおさまり目を開け、ふと空を見ると今の強い風で運ばれてきたのか、ドス雲が広がってきていた