異世界転入生

「え…光りが穴の中に!?」

鍵穴に光りが入ったことにライナが驚きの声をあげる
ユウは逆にその声に驚く

カチッ

鍵の開く音がして南京錠が扉から外れ、扉が開く

「うそ…」

ユウは自分が出来るとは思っていなかったため、とても驚いた
そして、前の世界と同じ南京錠であることにも驚いた

「すごーい!」

若干放心しているユウに、ライナが飛びつく
ユウは慌てながらも、何とか受け止める

「何でできたの!?!」

ライナの問いに、ユウは少し困る
前の世界では、当たり前の事だったから…何で出来たと聞かれても困る

「えっと…鍵っていうのは、鍵穴に鍵をさして開けるから…それをイメージしただけなんだけど…」
「へぇ!そうなんだ!」
「え?」
「あの穴って鍵っていうのをさすとこだったのね~」
「え?」
「俺、初めて知った」
「…マジ?」

ユウは皆の反応に驚いた
ユウからしてみれば、当たり前の事をイメージしただけなのだから

「フフフ…ユウは異世界で暮らしてたから
皆の知らないことを普通にしていたのよ
この南京錠を開けたことがあるから、イメージしやすかったのね」
(南京錠開けたことないって、普通じゃない…って、ココは魔法の世界だった)

南京錠を開けたことが無い自分と同じ年代の子達など、前の世界じゃ滅多にお目にかかれないだろう
今は、目の前にいっぱいいるが…
皆は親が鍵を開けるところを、魔法でしか見たことが無い
鍵を鍵穴にさして、ひねる…という鍵を開けるイメージが難しかったのだ

「俺、もう一度やってみる!」

オレンジ髪の男子が意気込んで扉の前に立つ
授業は終わりのはずだが、意気込みがあるので、リーナは何も言わずに見守る

「よーし!開け!!」

光が鍵穴に入り、南京錠全体がガタガタと動く
動いたが…開かずに終わった

「惜しいわね、その調子で頑張って!
ユウの鍵を開けるところを見たから、あの穴に魔法を集中させてることは分かったね?」
(皆、親が鍵開けてるの見てきたんじゃないの?)

リーナの言葉に、皆が頷きユウは疑問に首を傾げる
それを確認して、リーナはユウの方を向く