異世界転入生

(ん?なんか震えてる?)

視線を下に落とすと、杖が小刻みに震えている

(隠し扉みぃ~つけた!)

チラリとセリーヌを見る
何やら熱く語っているが、ユウにはただの意味不明な言葉にしか聞こえない

(さっさとBの空間に行こう)

セリーヌの相手をするのが面倒になったユウ
隠し扉が見つかった今、ココに残る理由は無い

「開け」

小声でそう言うと、静かに扉が現れ無音で開いた

(へぇ~…セリーヌに気づかれずに開けたいって思ったからか、音が出ない
なるほど、イメージすれば音も消せるんだ!)

新たな発見をし、ユウはセリーヌしかいないCの空間を後にした

「はぁ…変な事に巻き込まれたなぁ…」
「何が??」
「あ、ライナ…さっきセリーヌって子に会ったんだけど…」
「あぁ、あの子ね~
あの子は、ただの勘違い女よ」

ズバリと酷い事を言うライナ

「まぁ…確かに…」
「何!?アイツに何かされたの!?」
「ライナうるさい…ココにいる皆に聞こえてるけど」

リュウに言われ周りを見る
セリーヌ以外のクラスメイト全員が揃っていて、ライナの声に驚いたのか皆ユウとライナの方を見ている

「だって、心配になるでしょ!?
アイツなのよ!勝手に勘違いして思い込んで他人にぶつかっていく奴なのよ!?!」
「や、それは皆知ってるし」

興奮しながら話すライナに、それを冷静に答えるリュウ
リュウの言葉に、周りにいたクラスメイト全員が頷く

「み、皆知ってるんだ」

全員が知っている事に、ユウは驚いた
まぁ、人数の少ないクラスだ…全員知っていても不思議では無い

「あぁ、アイツの妄想癖は今に始まったことじゃない
俺達が入学した時…10日前から皆知っていることだ」
「え?皆10日前に入学したばかりなの?」

ユウは、セリーヌと関係の無いところに興味を示した
リュウも特に気にせずに、そちらへ話しを進める