異世界転入生

「ユウ!」
「!!?」

急に名前を呼ばれ、声のした方を見る
そこにはライナがスノーボード片手に立っていた

「なに?ライナ」
「リーナ先生が呼んでるよ
早く行っておいで」
「ふ~ん、分かった~」

ユウはライナに言われた通りリーナの元へ
呼ばれた理由が分からず、首を傾げる

「リーナ先生、何でしょう?」
「『何でしょう?』じゃ無いでしょ!
ホウキが無いでしょうが」

ほら…と差し出されたのは、真新しいホウキだった
ユウは「ぁ…」と、呼ばれた理由がやっと分かったらしい

「『ぁ…』って…ユウって意外と天然ね…いや、意外じゃないか…(ルイの子どもだし…)
とにかく、それがユウのホウキよ
飛行が上手くなると、スノーボードやもっと難しい物に乗る練習をするよ」
「はい」
「じゃあ、まずホウキにまたがってごらん」

ユウは言われた通り、ホウキにまたがってみる
しかし、全く浮く気配がしない

「そのまま浮かぶ事をイメージするの」

リーナにそう言われ、ユウは目を閉じ飛ぶ事をイメージする
すると、少しずつ浮かび始めた

「そうそう、その調子よ」
「うわぁ…浮かんでる!?!」

地から足が離れ、ユウは驚き声をあげる
それをリーナは少し驚いた顔で見ていた

(ルイ…あなた、どんな世界で育てたのよ…
誰でも空くらい飛べるのに、あんなに驚くなんて…)

リーナがそんな事を思ってるなんて、ユウは勿論知らない
ユウは驚きながらも、空を飛べることにウキウキし始めていた

「ホントに浮かんでる~!」
「ユウ!」
「あ、ライナ」
「ユウって、空飛ぶの初めてなの~?」
「うん、そうだよ」
「へぇ~、珍しいね~!ココじゃ飛ぶのなんて当たり前だからさ~」
「ハハハ…(空飛ぶなんて、向こうの世界じゃビックニュースだよ…)
当たり前でも、授業で練習するんだね~」
「そうだよ!だって、私達学校に入るまでは飛ぶ時は親と一緒だもん
単独で飛ぶ練習は、学校に入ってからなんだよ!
でも、通学に不便しない程度に乗れるけどね♪」
「へぇ~、そうなんだ(自転車みたいなものかな?補助付き自転車から補助外した感じ?)」
「全く何もしたこと無いのか…それにしては、上手いよね!」

そう言う彼女は、スノーボードに乗って、自由自在に飛び回っている