メロンパンにさようなら

「あん時も一緒に居たし、噂で、付き合ってるって聞いたから、やっぱりな。って思ったんだけど」

違うんだな。と言った後、

「なんだ。だったら、まだ跳ばないのか」

と呟いた。


その言葉が、無性に気になった。

深入りしちゃいけないって分かってるのに、聞きたくなった。

彼の、高見翔が時折見せる、あの寂しそうな顔と関係あるような気がして。



「あの、」

「ん?」

何?と聞かれると、なんて言っていいか迷ってしまう。

彼が跳ばない原因は、なんなんですか。と聞きたいのに、直球を投げ掛けてもいいのだろうか。

迷っていると、彼が話してきた。


「でも、ずっと一緒にいるあんただったら、知ってるかもな」

「え?」

何を?


「高見、いつになったら跳ぶんだ?」


それは、いつ陸上部に戻るかってこと?
陸上部に戻るのがいつかは、知ってるけれど。でも、この人は、そんな答えを求めていないような気がする。


頭の中でぐちゃぐちゃ考えていたら、目の前の青野ミツルが、話し始めた。


「アイツが、跳ばなくなったのって、別れた彼女が原因だって知ってた?」

って。