メロンパンにさようなら

「え?」

初対面じゃない?


彼をまじまじと見るけれど、会った記憶がない。


靴のラインは、黄色。ってことは、2年生。高見翔と同い年。


2年生で知ってるのは、天文部の人たちと、高見翔くらいなんだけど……


まじまじと見つめていると、彼が、突然、プッ!と吹き出した。


「見過ぎだし」

「あっ、ごめんなさい」


だって、誰か分かんないんだもん。



「俺、高見と同じ陸上部の青野ミツル」


青野、ミツル?


「ほらっ、あの時、1月に高見が君を連れて、グラウンド出て行った時あっただろ。あの時、声かけたのが、俺なんだけど」

「ああっ!」


あの時の!

あった、あった。
そんなことがあった。

あの時の彼が、この人かぁ。

すっきりした気持ちで、こくこくと頷いた。