メロンパンにさようなら

なんで、付き合ってるってことになってんのよ!


「ん?」

そうだろ?何をそんなに驚いてんの?


と言わんばかりに、こちらを見ながらジュースを飲む彼に、なんだか無性に腹が立ってきた。


教室の彼女たちといい、目の前のこの人といい、なんでみんな、付き合ってるって言うのよ!


「付き合ってませんし!」

なんで、こんなに腹が立つのか分からない。


高見翔のことは、確かに好きだよ。意識だってしてる。だけど、それは、私の一方的な気持ちだし。

アイツは、そんな気なんてこれっぽっちもない風だし。


だから、腹が立つの。
付き合ってる。なんて言われて、付き合えていない自分に腹が立つの。



えっ?そうなの?

と言わんばかりに目を見開いて見ている彼に、無神経な、この目の前の男に怒りを爆発させてしまう。

悪いのはこの人じゃないのにイライラが納まらない。

「大体、なんなんですか。初対面の人に、そんなこと聞かれる筋合いなんて、」
「えっ、あっ、初対面じゃないし!」


咄嗟に言った彼の言葉に、目を見開いたのは、私の方だった。