「部活、戻るぞ」


そう言って、地学室のある校舎に行こうとする彼を、


「ちょっ、ちょっと待って!」

と呼び止めた。



「……んだよ」


まだ何かあるのか、と言わんばかりに振り向いた彼に、聞かなければならないことがあるから。



「陸上は?」



きっと、さっき出会ってなかったら、あなたは、グラウンドに行っていたはずだよね。

今ごろ、走り高跳びの練習していたはずだよね。


こうやって、ジャージ姿でいるってことは、そういうこと。


それだけ大切な陸上を、走り高跳びをやめてしまうの?





「しばらく休む」


なんだそんなことか

と言わんばかりに、あっさりと言われたこの言葉に、驚きのあまり、言葉が出ない。



なんで、そんな簡単に休むなんて言えるの?