メロンパンにさようなら

騒いでいる彼女たちの方へ行くのかと思えば、そんな彼女たちを通りすぎ、私の方へ近付くと

「おいっ」

って呼ばれてしまったから体がビクリと反応した。


「えっ?」

私ですか?


向き合った彼は、確かに【メロンパン】の彼だった。



「えっ、何、あの子」
「高見くんの何なの」


少し離れた場所にいる女子の声が、やけによく聞こえる。


彼は、何も言わずに、私の腕をぐっと掴んで歩き出した。


彼に引きずられるようになりながら、彼とともにグラウンドを後にした。


途中、

「高見〜、どこ行くんだよ〜」

と、トラックの中から部員の誰かが彼に向かって言った。



「どこでもいいだろ」

と、ここでも俺様発言をする彼を、あぁ、この人は、確かに【メロンパン】の彼なんだ。そして、高見翔なんだって確信したんだ。