その中に見つけたんだ。
彼の……
高見翔の姿を。
「本当、だったんだ」
なんとなく見てみたくなった。
彼が跳ぶ姿を。
彼が、空に向かって跳ぶ姿を、この目でみたくなった。
それは、ただの興味本位なのか分からない。
だけど、寒いとか、そんなのどうでもよくなってた。
あの人が、どんなふうに跳ぶのか、ただ、それだけを見てみたかったんだ。
“ピッ!”
笛の音とともに、一人ずつ跳んでいく。
彼の
高見翔の番がやって来た。
“ピッ!”
タッ、タッタッタッ……
跳ぶ!
そう思った時、彼は、足を振り上げただけで跳ばなかった。


