メロンパンにさようなら


あぁ〜、お昼ご飯……

結局、食べずままお昼休み終わってしまった。
午後の授業に間に合うように教室に帰んないと。



「あのっ!これはお返しします!」

このあんパンは、私のものじゃないし。


強引に彼の腕と脇の間にあんパンを挟んで、教室へ戻ろうとした時、


「ちょっ!これ、あんたのだろ」


そう言って、あんパンを投げられ、反射的に受け取った。


「いや、だから、これはお返しします」

「んだよ。強情だな」


いや、それは、あなたでしょ。そもそも、あんパン頼んだのは、あなただし。


ぐいっと、彼の腕を掴んで手を出させ、あんパンを彼の手の上に置いた。


「私、あんこ食べれないんで。じゃあ!」

もう、早く教室戻らないと先生が来ちゃう。


「おいっ!」


彼の声が、後ろから聞こえたような気がしたけれど、振り返らなかった。

振り返ったところで、ろくな話しじゃないような、そんな気がしたから。