「やっぱ、スゲーな。あいつは」 隣で満足そうに頷きながらそう呟いた青野ミツルの声を聞きながら、何故か泣きそうになった。 ずっと苦しんでいた彼を知っているから。 “怖いんだ”と “跳ぶのが怖い”と目の前で自分の気持ちを曝け出した彼の姿を知っているから 弱い自分に負けまいと強い気持ちで、今日、この場に立ったことを知っているから 熱くなった目頭を隠すように空を見上げた。 彼が跳んだ空は、淡い水色の優しい春の空だった。