私が言いたいことが分かったのか、部長は言葉を続けた。 「高見を見てやって。 アイツの声を聞いてやって。 逃げんな」 と。 彼を…… 本当の彼を見なくちゃ何も始まらない。 本当の彼を知らなきゃ。 真実から逃げていては、彼を見れないから。 逃げちゃいけないんだ。 「来たな」 部長がそう呟いて、池の向かい側を目を細めて見たので、何だろうと、部長の傍に行き、同じように、池の向かい側を見た。 そこには、ジャージ姿でジョギングしている高見翔の姿があった。