「メロンパン、一つください」
「メロンパンちょうだい!」


私が言うのと、ほぼ同じタイミングで食堂のおばちゃんに話しかけたのは、私の真後ろに並んでいた男子生徒だった。



「あら〜、ごめんね。メロンパン、残り一つなの」


カウンター越しに、すまなさそうに、おばちゃんが私たちに向かって言った。



最後のメロンパンは、順番的に言って、私が貰うはずだよね?

だって、私の方が、早く並んでいたわけだし。

間違ってないよね?



そう訴えるように、真横に来た彼を見ると、


「…んじゃあ、あんパンちょうだい」


そう言って、私にメロンパンを譲ってくれた彼。