メロンパンにさようなら



「翔っ!」

そう言って、私たちの方へ駆けてきて、周りに私たちがいることも気にせず、高見翔の腕をぐいっと掴んで、自分の方へ彼を振り向かせたのは、1人の女子生徒。


色白で、長い睫毛に、大きな瞳。

胸の辺りまである茶色の髪の毛先が、くるりと緩く巻かれている。


一度見たら忘れることのないくらい、大人っぽい綺麗な女子高生だった。




「……んだよ」

そんな彼女に、だるそうに返事をしながらも、彼女を真っ直ぐ見ようとしない高見翔の姿が、いつも私と話をする高見翔と違う雰囲気で、思わず、彼を見つめてしまっていた。



「もう、1ヶ月経ったんだよ。いつになったら戻ってくるの」


責めるように言う彼女の言葉に、


「さぁな」


と明後日の方向を向いて返事をする高見翔の姿が、その話には触れて欲しくなかったかのように見える。