「なぁ媛ちゃん芸術の選択なんや?」


うちの学校は芸術が選択。音楽、美術、書道のどれか。ちなみに一時間目。

「美術だよ」

「あちゃーうち音楽やぁ…」

「よかったね媛ちゃん」



「私やなっちゃんは美術だよ」

「本当!?」


優も、とは言えなかった。


「俺も美術」


優ぅぅぅぅ!?言っちゃったよこの子!!!!

心の中で絶叫。ガクッと肩を落とす。


「恋!!!授業行くよ!!」

「うん……」


途中で名残惜しむ友貴とそれを引っ張る翠ちゃんと別れ美術室へ急ぐ。


美術の隣の席は高砂 晴。剣道部主将で強い男の子。

なっちゃんは少し後ろ。隣は原田 美姫。体育会系の女子。ちなみになっちゃんは絵が超絶上手い。そして美術部幽霊部員である。

安心したのは優が媛ちゃんの隣じゃないこと。優の隣は仲のいい桜井 信太。媛ちゃんの隣はあんまり学校に来ない翠ちゃんの双子の弟、中塚 輝。



「油絵むずいなぁ」

晴がぼやく。

「うん…上手く使えない…」


なっちゃんをちらっと見ると楽そうな顔で描いてる。さすがだ。

媛ちゃんは少し説明受けてから下書きを始めた。