「……あの」
「はい」
窓から見える景色はいつも見ている風景とは違う。
広い車であたしは落ち着かないでいた。
「あ。……あのほんまにあたしが言って大丈夫なんです?」
「ええ。そのお渡しした資料に目を通しておいてください」
「え……て、あのものすごい量なんですが……」
「ええ」
「……」
にっこりと笑う運転手兼執事の亜季さんだが、この資料の量は半端ない。
車が揺れて膝に置いた資料がバラバラになった。
「あー……」
こんなんであたしやって行けるんやろうか
と、いうわけで
数週間前
「式波さん。三番に電話ー」
「あ、はい」
電話を取り三番のボタンを押した。
「もしもし……え……あ、はい式波はあたしですが…………え?」
電話の声は聞いたことがない声だった。
どうやら下の受付で待っているという。
名前も
同じ
「シキナミ」と名乗ってあた。
とりあえずすぐにエレベーターに乗り込み一階の受付へ降りた。