「和希君?」


ふと、気が付くと彼が病室にいて


「どうして、こうなる前に相談してくれなかったの?」


って、真剣な眼差しの彼が静かな声で私(樹里亜)に、話しかける。

言えるはず無いないよ。

摩凜の彼氏に、相談出来るはずないじゃない。

そう、私だって本当は彼と一緒にいられたら

音楽を捨ててもいいと

思うほど愛していた。


でも、摩凛が私より先に彼に打ち明けて

彼女になったの。


「もし、私が摩凛より先に打ち明けていたら

彼女にしてくれた?」


「樹里亜の才能に僕は、嫉妬してるから

ライバルって気持ち以上になれたのも

摩凛ちゃんがいるからなんだよ」


「それじゃあどうしても、これ以上の関係にはなれない?」


「君が、僕の小さな肝っ玉が見れたならば

君の彼氏になる程の価値がないって見捨てるよ。

君の彼氏になれるのはもっと頭が良くて

広い心のある人だよ。

僕は摩凛ちゃんで、いいの。才能に嫉妬しなくていいから。

摩凛ちゃんには、黙っていてね」