ラバ―ズΧクロス


なるべく音を荒立たせずに、扉を閉めた。


勢いよくベッドに倒れ込み、深い溜め息をはいた。



最近何かと溜め息をつくことが多い気がする。



女の子らしく…なんて、幼い頃から毎日のように言われきた。


葉月と比べられることなんて、慣れてる。


なのに、最近はお母さんが葉月を褒めたり、羨ましがるだけで心がザワザワするようになってきた。


あたしと葉月の性格が正反対ということは、ずっと前から分かってたのに…。



「~~~っ!!」


噛みしめていた唇を緩めると、ハラハラと涙が零れてくる。



「なんで泣いてんだよぅ…。あたし」



と、ポケットに入っていた携帯がぶるぶると震えた。



取り出すと葉月の名前が液晶画面に映し出された。



[荷物持ちお疲れ様。明日図書室来るよね?]


文を読んで固まってしまった。



お母さんとのやりとりですっかり忘れていた。



急に体が火照り出し、涙もスゥ~と引いていく。



あたしはベッドの上で正座し、葉月の携帯へ電話をかける。