「いたっ」 下を向いて歩いていたアタシに 何かがぶつかった。 いや、正しくはアタシが ぶつかったのだと思う。 恐る恐る顔をあげると… ………見上げる形になった。 『ごめん、大丈夫?』 「あ、すみません…」 大男(?)を前に、一気にチキン化したアタシは、 そそくさと謝ってその場を立ち去った。 去年の冬、人通りの少ない路地で。 これが初めての出会いだった。