「それじゃあ、私がドキドキしてないみたい」 「ドキドキしてんの?」 「少なくとも、椎名君の100倍はしてる」 「ぶっ、何それ」 鮫島のひんやりした右手が俺の頬に来る。 「私だって、ドキドキするよ…」 「うん」 俺の左手を、鮫島の頬に寄せる。 鮫島の頬は、やっぱりひんやりしていた。 「椎名君」 「ん」 「私に恋をしてくれてありがとう」 鮫島がにっこり笑う。 俺もそれにつられる。 そして、ゆっくりキスをした。 ジージーと蝉の鳴き声が響いていた。 fin.