ここでちょっと、申し訳ないことを思い出した。 「椎名君…」 「ん、何?」 「申し上げにくいことが…」 「うん、言ってみ」 椎名君、本当に申し訳ない。 「朝倉君んちに忘れ物をしまして…」 椎名君の顔が一気に赤くなっているのがわかった。 うん、これはよくない方の赤みだね。 「本当に申し訳ない…」 「行ってもいいけど、今度にしよう」 「いいんですか?」 「俺もついて行くから」 本当は超嫌だけど、そう言って笑った。