ほんのちょっとの、重なるだけのキス。
驚いて目を開けたままの私。
その私の目には、花火の光がきらきらと散っていたのが写った。


そっと離れた後、椎名君は何もなかったかのように私に聞いた。


「花火…どうする?会場に行く?」


そっか、飯田さんから逃げる必要はないんだ。
というか、元々なかったんだ。
でも…、


「いや、いい。ここで見たい」
「そう、わかった」


もう少し、あなたとふたりだけでいたい。